(住宅居室内への)ドラム用防音ブースの設置検討
 

1 「防音」の原理原則

(1) 遮音

  何か質量がある物体を振動させ、あるいは変形させ、それによって音の
  エネルギーを
熱エネルギーに変えることです。

  また、この物体の振動により発生した2次音を次の物体に出来るだけ
  伝達しないよう
にします(=ダンプされた空気層)。

  以上を繰り返すことになります。

(2) 振動遮断

  まず、固体どうしの「縁を切る=絶縁」ことになります。

  しかし現実には完全に縁を切ることは不可能です。

  防振パッドを多段で使用するなどして擬似的な「絶縁」を図ります。

2 住宅居室に防音ブースを設置する場合の留意点

(1) 防音ブースの設計重量

  一般的に住宅の床の設計積載荷重は 1,800N/u=180kg/uです。

  3畳程度の防音ブースを想定しますと、防音ブースの重量の上限は、

  (0.91m×30.91m×2)×180kg/u=891kg となります。

  一方、壁・天井の内外遮音パネルを3層貼り、床遮音パネルを4層、
  3層の2段重ね
とした、約40dBZ@125Hzの遮音性能を持つ防音ブースの
  重量は:

  床 : 
(27kg/u+27kg/u)×(1.82m×2.73m)268kg

  天井: (24kg/u+20kg/u)×(1.82m×2.73m)219kg

  壁 : (24kg/u+22kg/u)×(2.3m×(2.73m×2+1.82m×2))963kg

  となり、合計値は268kg+219kg+963kg1,450kgとなります。

  これでは防音ブースの重量が床の耐荷重をオーバーしていることに
  なってしまいます。

  しかし、実際は防音ブースの重量を防音ブース周辺の既存室の床も負担
  していると

   考えられますので、防音ブースから0.455mまでの床も含めて考えますと、

   (2.73m+0.455m×2)×(1.82m+0.455m×2)9.9u

   9.9180kg/u=1,782kgとなり、どうやら大丈夫のようです。

   ただし、遮音ブースの重量は床遮音パネルの四周に集中しますので、
  その点には注
が必要です。

(2) 防音ブースの寸法設計

  部屋の中に部屋(防音ブース)を設置する場合、外寸で押さえる方が
  材(ボードなど)
の無駄を省く(=手間を減らす)上で好都合です。

  しかし、肝心の防音ブースの内寸は遮音床・天井、遮音壁の厚さの分
  狭くなることに
注意が必要です。

(3) 防音ブースの構造設計

  3畳程度の防音ブースですとパネル構造でやれそうな気がしますが、
  ブース内側遮音
壁と外側遮音壁は振動遮断する必要があります。従って
  パネル構造という考え方は
成立しません。

  軸組み構造に遮音パネルを構成するボードを貼っていくという考え方
  になります。

(4) 防音ブースの遮音設計

  ドラムの最大音圧を110dBZ(=100dBA)としますと、防音ブースの
  遮音性能を
40dBZ@125Hzとすれば、既存の部屋の音圧は70dBZ
   (=
60dBA)となります。

  既存の部屋の窓に内窓を取り付けるなど若干の改善を図れば、既存の
  部屋の遮音性能
として25dBZ程度は確保出来るでしょう。

  従って、防音ブースの40dBZ@125Hzという遮音性能はひとつの基準に
  なります。

(5) 防音ブースの振動遮断設計

  まず、防音ブースの壁・天井の内側遮音壁と外側遮音壁を、間柱の千鳥
  配置などに
より、互いに振動絶縁します。

   次に、床については遮音床を2重にし、2段の防振パッドにより防音
  ブースを既存
床からフローティングさせることになります。

しかし、この構造方式では「サウンド・ブリッジ」になる部分が
  どうしても残ります。

3 防音ブースの設置費用

  3畳程度の場合、大体100万円前後となります。ただし、既存の部屋の
  床補強工事
などは含みません。

4 まとめ

  −ある程度きちんとした遮音・振動遮断性能を持つ防音ブースは
   どうしても重量が
あります、その配置については注意が必要です。

  −「サウンド・ブリッジ」が無い防音ブース(2重構造)は物理的には
   造れますが、
ブース内のスペースが極端に狭くなるので非現実的です。

  −防音ブースの居住性はどうしても通常の居室と比べて悪化します。